世にある車種のなかには、スズキ・スペーシアとマツダ・フレアワゴンのように、「同じ車なのにメーカーと車名が違う」というケースがあります。
これらはOEM車(Original Equipment Manufacturer)と呼ばれ、あるメーカーが別のメーカーの委託を受けて生産する車両を指します。上の例でいえば、スズキが開発・生産したスペーシアを、マツダブランドのもとでフレアワゴンとして販売している格好です。
「同じ車なら、もともと製造したメーカーの方を買えばよくない?」と考えてしまいますが、OEM供給を受けた車種を購入しているオーナーは、どのような理由からその車種を選んだのでしょうか。
親がスバリストだったので…
OEM車を購入する理由として、まず「ディーラーとの関係性」といった要因が考えられます。たとえばずっと同じ営業担当から車を買っている人が、自社生産のラインナップのなかに目当ての車を見つけられなかった場合、OEM車が選択肢になるかもしれません。
今回も、このようなケースに近いお話がありました。ダイハツ・ロッキーのOEM供給版であるスバル・レックスに乗る女性は次のように話します。
「お父さんがずっとスバルに乗っていて、大学に入るときに『通学用の車、スバルなら買ってあげるよ』といわれて、運転しやすそうなレックスにしました。
お父さんは『それはスバルの車じゃないんだけど……』みたいな反応でしたけど、こっちが知ったことではないですし、『スバルならいいって約束したじゃん』と押し切りましたね。
正直OEMとかはよくわからないですけど、普通に運転しやすいですし、もともとどこのメーカーが作ったかは気にならないですね」(20代女性)
今回のお話にもあるように、「人付き合いのなかで、乗れる車のメーカーが制限される」というケースは珍しくありません。勤め先の関係上、通勤に使えるメーカーが限られることもあるでしょう。
あらかじめ「このメーカーから買う」と決まっている場合、OEM車は車選びの幅を広げてくれると考えられます。