国際情勢を上手く統御できていないアメリカを初めとする他のG7諸国も、たとえ国力を急速に衰えさせ続けている日本であっても、積極的な安全保障政策の領域への参入は歓迎する雰囲気だ。もっともそれは、米欧諸国が切り盛りしている既存の政策プラットフォームに日本が入ってくる、という前提の話であり、日本が独自に「アジア版NATO」の創設を提唱する、といったことは、受け入れられない。
直近では、こうした情勢の中で、日本の石破首相の外交政策のあり方が問われてくる。中期的には、米欧諸国主導の安全保障協議・実施体制に一方的に吸収されていく政策的態度の妥当性が問われる。最も根源的に、長期的には、米欧諸国主導の政策フォーラムが、その存在価値を維持していけるのかどうかが、問われていくだろう。
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