今回のG7国防省会合の機会に発出された「共同宣言」文を読んでみたが、実際に目新しいところはなかった。
Joint Declaration of the G7 Ministers of Defence
議長国イタリアが開催を提案した、と報じられており、その関心対象であるレバノン駐留のUNIFILの安全確保の重要性を訴える内容は入っている。これは最近の事件に対応している、という意味で、多国間協議を通じて公式文書に入ってきたのは、あるいは初めてかもしれない。ただイタリア、スペイン、フランスなどの欧州諸国のみならず、その他のUNIFILに要員を提供している40カ国が共同で発した声明などは、すでに発出されている。
しかも「共同宣言」では、ハマスやイランが、イスラエルへの攻撃を理由に名指しで非難されているのに対して、イスラエルを名指しした非難はない。むしろG7諸国は、イスラエルの安全保障に関与している、といったことが謳われている。UNIFIL要員の安全確保に加えて、一般的な市民の保護に関して、国際人道法の遵守が謳われている。しかしイスラエルの行動を問題視している具体的な記述は、そこには登場しない。
このG7防衛相会合共同宣言では、冒頭から国連憲章の原則を遵守することの重要性が強調され、「自由で開かれたルールにもとづく国際秩序」への挑戦を許さない、といったことが書かれている。つまり国際法に挑戦している勢力として名指しでイラン、ハマス、ヒズボラ、フーシー派、などが、非難の対象とされている。しかしイスラエルの名は非難対象ではない。ただイスラエルの安全が保障されなければならない、と語られるだけである。
ガザ危機をめぐっては、国際刑事裁判所(ICC)検察官が、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相の逮捕状請求を行ったことを発表している(ハマス指導者にも逮捕状請求がなされたが、対象者は全員イスラエルによって殺害されている)。