何かに付けて悪く言われる町田に所属している上に、過去の行状が故に金氏がバッシングを受ける可能性もあるが、この件が事実だったとしても、勇み足を踏んでしまった鳥栖スタッフが原因の“もらい事故”といっていいだろう。
Jクラブも60クラブにまで増え、選手や指導者の行き来もそれに比例して増えている。そして、今では敵味方に分かれていても、過去には同じ目標に向かって共に仕事をした仲間であるケースも多々あるだろう。これが、規約を適用するかしないかの“グレーゾーン”を生じさせ、難しい点でもある。
第一報を報じた山口新聞は、山口県の県紙でありながら、県庁所在地の山口市ではなく下関市に本社を構え、九州北部のニュースもカバーしている。故に、単なる“門外漢の飛ばし記事”ではないだろう。
この記事の意図は、いかに鳥栖の経営陣にビジョンがなく、資金難であることに危機感もないことを指摘した点にある。
昨年、37歳の若さで運営会社「サガン・ドリームス」の新社長に就任したばかりの小柳智之氏にとっては、いきなりの試練となってしまった。しかし過去には、自らの方針に異を唱えるスタッフを片っ端からクビにしスポンサー離れを招いた建設会社経営の古賀照子氏や、元佐賀大学学長の肩書を持ってはいたが経営に関しては全くの素人だった楠田久男氏といったトンデモ社長を据え、当時の鈴木昌チェアマンから「このままの経営が続けばJリーグからの除名や退会勧告もやむなし」とまで言われたクラブだ。古参のサポーターからすれば、“あの頃よりはマシ”と感じているのではないだろうか。
もう一度、鳥栖が原点の“砂岩”と化し、力を付けてJ1の舞台に戻ってくる日を待ちたい。