OiTrの必要性「なかなか理解してもらえなかった」
―――今では多くの施設のトイレでOiTrを見かけますが、そこに至るまでの経緯を教えてください。
飯﨑さん:最初は、実証テストをさせてくれる施設を探すところから始めました。しかし、設置先の施設担当者は男性が多く「これは本当に必要なんですか?」という反応が多く、生理用ナプキンディスペンサーの必要性が伝わりにくかったのです。
通常のビジネスモデルでは、ディスペンサーのレンタル費用とナプキンの消耗品費を施設にお支払いいただくものですが、まだ施設側に個室トイレに生理用品を常備する必要性を理解してもらえなかったため、私たちはナプキンのコストを賄える収益源を考える必要がありました。それが、液晶画面で広告を流すデジタルサイネージのアイデアでした。
これは、タクシー広告の仕組みを参考にしました。トイレはプライベートな空間で、数分間座っている間にユーザーに広告を訴求することができます。この広告配信による広告協賛などにより生理用ナプキンのコストを賄い、無料で生理用ナプキンを提供できるような仕組みを考えました。
まずは、より多くの施設に設置して認知度を高めたいと考え、当初はディスペンサーの設置費用も施設側に負担していただかない形で進めました。その結果、設置台数が少しずつ増え、ご利用者のSNS投稿により反響も出てきました。
今では、利用施設にOiTrがあって助かったという声が多く寄せられています。特に企業では、何度もトイレに行くたびに周囲の目を気にする負担や、会議中やデスクに置いた生理用品を取りに行くストレスが軽減されていると好評です。
さらなる認知度向上のため、不特定多数をターゲットに
―――今後、OiTrを設置していきたい施設や場所はありますか?
飯﨑さん:不特定多数の方が利用する施設、例えば大型ショッピングモールやドームなどの球技場、駅ビル・空港・サービスエリアなどに設置していきたいと思っています。