生理用ナプキンが無料で提供されるディスペンサー「OiTr(オイテル)」。女性のなかには商業施設などで見かけたり、利用したりしたことがあるという人もいるのではないでしょうか。シンプルながらも生理のある女性なら誰もが必要とするこのサービスを商品開発したのは、実は男性なのです。
今回、U-NOTEでは、生理用ナプキンディスペンサー「OiTr」を提供する株式会社オイテルの取締役である飯﨑俊彦さんに、OiTrが誕生したきっかけや、開発時の思いなどについてお聞きしました。
「なぜ生理用品はトイレに常備されていないのか」から生まれた
―――OiTrが誕生したきっかけについて教えていただけますでしょうか。
飯﨑さん:起業にあたって、社会課題を解決するビジネスをやりたいと思ったとき、ジェンダーギャップ指数で日本の順位が非常に低いことが気になりました。
ジェンダーギャップ(男女格差)が生まれた背景には、男性は仕事をして家族を養い、女性は結婚後に家庭に入るといった固定観念が定着し、これが男女格差や性差による差別・偏見を生んでいると考えられています。
少子高齢化や人口減少が進むなか、女性の社会進出はますます重要になります。しかし、ライフスタイルの大きな変化に伴い、女性特有の健康問題が顕在化しています。特に「生理」は、心身の負担にとどまらず、経済的負担や機会損失といった深刻な影響を及ぼしていることを知りました。生理は平均で12歳頃から始まり、約40年間続きます。その間、心や体のストレスだけでなく、職場におけるパフォーマンスの低下や機会損失も発生しています。
また、生理に係る費用は約40年間で約70万円、さらに医薬品費や通院費などを含めると多い方で約200万円に達します。日本では男女の賃金格差も存在し、経済的に女性の負担は非常に大きいのです。これまでの男性中心社会によって生まれたジェンダーギャップは、健康分野にも深刻な影響を及ぼしています。