ペトラには元々、紀元前1200年頃からエドム人という先住民が住んでいました。

ところが紀元前2世紀頃にナバテア人という遊牧民族が流入し、土着のエドム人を排除してペトラに定住するようになります。

ナバテア人は砂漠を移動するキャラバン貿易によって莫大な富を得て、ペトラにナバテア王国を築きました。

(ちなみにナバテア王国は紀元後106年にローマ帝国の征服によって消滅しています)

彼らがペトラに建設した建物の中でも、最も精緻なものが「エル・カズネ(宝物殿)」と呼ばれる神殿です(上図の左)。

エル・カズネは他の建造物と同様、砂岩の岩肌を職人が彫って造られています。

そして映画『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』のロケ地に使われたのが、まさにこのエル・カズネでした。

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劇中で使用された「手帳」と「聖杯」/ Credit: ja.wikipedia

劇中では、考古学者のインディが大富豪から「聖杯」の捜索を依頼されます。

聖杯とはイエス・キリストの血を受けたと伝えられる聖なる杯のことです。

エル・カズネでの撮影はヨルダン政府の全面協力のもと3日間かけて行われ、国王と王妃も子供を連れて毎日見学に来ていたそう。

監督のスティーヴン・スピルバーグは後のインタビューで「ヨルダンでの撮影は素晴らしいもので、政府は私たちに国を解放し、とても歓迎してくれました」と振り返っています。

そんな歴史好きにも映画好きにも縁の深いペトラのエル・カズネでとんでもない発見が報告されました。

なんとインディが訪れた場所で本当に考古学的なお宝が見つかったのです。

隠された地下墓地を発見!12体の遺骨と「聖杯」も⁈

共同研究チームは最初に、リモートセンシングスキャンを使って、ペトラ遺跡の地中に何かが埋まっていないかどうかを非侵襲的に調査。

するとエル・カズネの真下に地下室のような空間があることがわかりました。

そこでチームはヨルダン考古局の許可の下、エル・カズネの発掘作業を開始。