つまり、人間は何も知らなかったときほど「自分はなんでも知っている」と思い込み、世界について多くを知れば知るほど「自分は何も知らなかった」ことを知るのです。
これは古代ギリシャの賢人ソクラテスの唱えた「無知の知」を意味します。
この「無知の知」は誰もが日常の中で実感しうることです。
例えば、趣味のアニメや映画でも、最初の1〜2年で有名どころのタイトルを一通り見終わると「自分はもう全部見切ったんじゃないか」と思い込みます。
しかしより深く掘り下げていくと「なんだ、自分が見てきたのは氷山の一角に過ぎなかったのか…」と気づくことがあるのではないでしょうか?
今回の研究結果は、これと同じ現象が日常の会話の中でも起こっていることを指し示しています。
そこで研究主任のアンガス・フレッチャー(Angus Fletcher)氏は、ある問題について判断を下す前に、自分が本当に十分な情報を知っているかを確認すべきであると指摘しました。
「私たちの研究が示しているように、人々は知っている情報が不足しているときほど、『自分の判断は適切で正しい』と錯覚しやすくなります。
誰かと意見が食い違うとき、まず最初に取るべき行動は相手を非難することではなく、『相手の立場をよりよく理解するために、自分に欠けているものはないか』と考えることでしょう。
それが『情報は十分に足りている』と思い込む錯覚と戦う最適な方法なのです」
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参考文献
Why people insist they’re correct without all the facts
https://www.popsci.com/health/why-we-think-we-are-right/
Why We’re Confident with Only Half the Story
https://neurosciencenews.com/illusion-information-psychology-confidence-27820/