まず、私たち人間の血には「ヘモグロビン」という赤色素たんぱく質が含まれており、これが酸素と結びつくことで、血液が赤色になります。
このヘモグロビンと酸素が結びついている状態を「オキシ型」と呼びます。
反対に、ヘモグロビンが酸素と結びついていない「デオキシ型」の場合は、黒っぽい血液になるのです。
たとえば、皮膚を擦りむいたときに出る血液は、空気中の酸素に触れるため、赤色になります。
一方で、注射器などで採血するときは、酸素と接触しにくいので、黒っぽく見えるのです。
では、問題のカブトガニですが、彼らの血中にはヘモグロビンが存在しません。
代わりにあるのが「ヘモシアニン」という、銅を含む色素たんぱく質です。
そして、ヘモシアニンは酸素と結びつかなければ「乳白色」なのですが、酸素に触れると「青色」になります。
そのため、カブトガニの血液は体内を流れているときは乳白色で、採血して外の酸素に触れると青色に変わるのです。
カブトガニの採血にはかなりの作業時間がかかりますが、得られた血液は非常な高値がつき、血液1ガロン(約3.8リットル)あたり6万ドル(約810万円、2022年7月現在)になります。
では、この青い血が一体、何の役に立つというのでしょうか?
内毒素を検出できる唯一の天然資源
1956年、アメリカの医学研究者であったフレッド・バング(Fred Bang、1916〜1981)は、カブトガニの血の奇妙な特性に気づきました。