男の身だしなみなんていうタイトルに「お前は一体何を考えているんだ」「ネタ切れか?」とおしかりを受けそうですが、「男の身だしなみの経済学」とするとがらっと雰囲気は変わるかもしれません。ただ、今日の内容的には「男の身だしなみの心理学」としたほうが良いのかもしれません。

少し前、東京の行きつけの美容室で私を担当していた40近いオーナーの息子が耳元で囁くのです。「最近は男性の化粧は当たり前ですよ。ほら、僕だって…」と見せられた時、思わず彼は私にも化粧をしろと言っているのかとびっくりしました。ただ、それから気になって10代ぐらいの男性に「化粧するって本当かい?」と聞けば「普通ですよ」と当たり前に言われ、20代の男性にも聞くと「増えてきていますよねぇ」と。

男性用化粧品市場は2017年から22年までの5年間で1.5倍、376億円規模になったと報じられています。明らかに男性が化粧を意識しています。ただ、化粧品といっても口紅をぬるとかアイシャドウを入れる人はごくわずかで基本的には肌を守る化粧水などが中心のようです。

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この20年、男性の変化といえばまずファッションがぐっと良くなったこと。北米にいると多くの男性はTシャツにGパンなのでファッションセンスを感じさせる人はごく一部ですが、日本に行くと若い方を中心におしゃれになったなと感じさせます。

このところの男性化粧ブームはその第二弾という位置づけかもしれません。なぜ、男性は美を意識するようになったのでしょうか?

私がクラス会や同期の連中に会うと久々に会うこともあるのですが、「じじぃ」になっている輩があまりにも多いのにびっくりします。それこそ髪の毛は薄く、加齢臭が漂いそうなその出で立ちに「ちょっと待て 俺もそんなに むさいのか?」と思わず一句述べたくなるほどであります。

年齢を感じさせるいくつかの点をを挙げると、髪の毛がないだけでなく整えていない、着る服がドブネズミ色のじじぃファッション、顔のツヤも張りも全くなし、口臭にタバコの染みついた匂い、歩けばズルズルと足を引きずり、歩幅が異様に狭い、動きか緩慢、強情でいうことを聞かず…。