アースロプレウラの化石はその後、大陸移動によって世界各地に移動し、1800年代後半から主に北アメリカとヨーロッパでよく見つかっています。
しかし一方で、胴体部分の化石は数多く見つかっているものの、これまで頭部の完全な化石が見つかっていませんでした。
というのも、アースロプレウラの化石のほとんどは脱皮の際に残された外骨格の殻であり、本体は頭の開口部からモゾモゾと這い出てきたため、頭部の殻が崩れて消えやすかったからです。
それゆえ、アースロプレウラの復元像で見られる頭部はすべて、研究者たちの想像に頼っていました。
しかしロンドン自然史博物館らの研究チームは今回、頭部まで保存されたアースロプレウラの幼体化石を2つ再発見したことで、アースロプレウラの「顔」を初めて復元することに成功しました。
史上初、アースロプレウラの「顔」を復元!
改めて再発見された化石は1970年代にフランス中東部ブルゴーニュ地方で見つかった2つのアースロプレウラ幼体で、今日まで博物館のコレクションとして保管されていたものです。
全長はまだ10センチにも満たない小さなものでしたが、研究者らは全身がほぼ完全に無傷の状態で残されていることに驚きました。
頭部の痕跡も肉眼で確認できたことから、チームはCTスキャンを使って2つの化石の3次元画像を作成し、全体像を復元することに。
その結果、これまで不明だったアースロプレウラの「顔」がどのようなものだったか初めて明らかになったのです。
それによると、アースロプレウラの頭部は先端が丸みを帯び、2本の短く曲がった触覚が生えていて、目の付け根に「眼柄(がんぺい)」がありました。