太古の地球は、虫ぎらいでは絶対に住めないほど、昆虫を含む節足動物たちが大型化していました。

その中でも特に巨大で、”史上最大級の節足動物”とされるのが絶滅ヤスデの「アースロプレウラ」です。

全長は最大で約2.6メートルに達したと推定され、長さだけでいえば自動車サイズになります。

その一方で、アースロプレウラは胴体部分こそ詳しく復元されているものの、これまで頭部が見つかっていませんでした。

しかし今回、英ロンドン自然史博物館(NHM)らの研究で、ついにアースロプレウラの「顔」の全体像が明らかになったのです。

研究者たちが驚いたのはアースロプレウラの胴体はヤスデの特徴を持っていたのに対し、頭はヤスデではなく、ムカデの特徴を持っていることでした。

研究の詳細は2024年10月9日付で科学雑誌『Science Advances』に掲載されています。

 

目次

  • 自動車サイズの古代ヤスデ、「顔」が見つかっていなかった
  • 史上初、アースロプレウラの「顔」を復元!

自動車サイズの古代ヤスデ、「顔」が見つかっていなかった

アースロプレウラ(学名:Arthropleura)は和名で「コダイオオヤスデ」と呼ばれるように、ヤスデのグループに属しています。

今から約3億4600万〜2億9000万年前の石炭紀に生息していました。

アースロプレウラの体サイズは種類によって様々ですが、特に巨大なものは成体で全長2メートルを超え、中には全長2.6メートル、体重50キロに達するモンスター級の個体もいたと推定されているほど。

一部のウミサソリと並んで”史上最大級の節足動物”と称されています。

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アースロプレウラの復元イメージ / Credit: commons.wikimedia

アースロプレウラは当時の大陸配置で見ると、赤道周辺に広がっていた沼地の森林に住んでいました。

そのため、アースロプレウラの体や脱皮の殻が土砂の中に埋没し、無酸素状態で腐敗や分解が防がれて、化石として残りやすくなったのです。