陰謀論が飛び交うインターネット

 アラスカの幻のピラミッドについては、主流メディアではほとんど報道されていない。しかし、インターネット上では、この謎の構造物に関する情報が飛び交っている。

「アラスカで発見された世界最古のピラミッドが、科学界に衝撃を与える」オルタナティブメディア、New Earth Mediaは、2017年にそう報じているほか、「巨大なエネルギーを放出する地下ピラミッドが、アメリカ政府によって隠蔽されていることが、ドキュメンタリー番組で明らかになった」 デイリー・スター紙は、2019年にこう報じている。

 ロシアの国営メディアであるスプートニク・ニュースは、「ジャーナリストがアラスカの地下にある巨大ピラミッドの痕跡を発見」と題した記事の中で、「約30年前に中国で発生した核爆発により、数百キロメートル離れたアラスカで驚くべき発見があった。アメリカ政府の地震計が異常な地質学的現象を検知したのだ。そして、熱心な愛好家たちが、凍てつく半島の地下深くに巨大なピラミッドが存在するという主張を追求し始めた」と報じている。

 スプートニクは、情報源として「ヒストリーチャンネルのテレビ番組「古代の宇宙人」のジャーナリスト、リンダ・モールトン・ハウ氏が、元海軍職員から匿名で連絡を受けた」と述べている。この元海軍職員は、父親が技師であり、極秘の政府プロジェクトに携わっている際にピラミッドを目撃したと語ったという。

幻の「ブラックピラミッド」を求めてアラスカの荒野に消えた男
(画像=イメージ画像 Created with DALL·E、『TOCANA』より 引用)

 しかし、アラスカの独立系ジャーナリストであるクレイグ・メドレッド氏によると、キャリー湖の50マイル以内には、秘密であろうとなかろうと、政府のプロジェクトは存在しないという。もしそのようなプロジェクトがあれば、道路、空港、あるいはヘリコプターの着陸地点など、アクセス手段が必要となるため、人々の目に触れることになる。少なくとも、水上飛行機で物資を運び込むための、湖畔の空き地が必要になるだろう。

 アラスカの荒野では、そのようなものは簡単に見つけることができる。スプートニクの記事では、元海軍職員が巨大なピラミッドの存在を証言し、「エレベーターを使って巨大なピラミッドの底まで降りていった」と語っていた。

 しかし、地下数百フィートまで降りるエレベーターを建設するとなると、大規模な建設プロジェクトになる。これは、その地域の上空を飛行する小型飛行機から簡単に見つけることができるはずだ。アラスカでは、軽飛行機がアメリカ本土の48州における自動車と同じくらい一般的であり、飛行機はほぼ毎日どこにでも飛んでいる。

幻の「ブラックピラミッド」を求めてアラスカの荒野に消えた男
(画像= 、『TOCANA』より 引用)