そこで700万人が視聴したベイヤーのインタビューのことになる。筆者は例によって日本語字幕で拝聴したが、冒頭の質問から双方のゴチャゴチャは始まった。

ベイヤーは、バイデン/ハリス政権が入国を許可した不法移民の人数を問うた。が、ハリスは頻繁に「顧みて他をいう」(答えに窮し、間を空けて本題とは違う答えをいってごまかす)を繰り出し、「ブレット、本題に入りましょう。いいですか? 要点は我が国の移民制度は崩壊しており、修復する必要があるということです」と決して数字をいわない。

ハリスは「(バイデンの大統領就任の)宣誓後、実質的に数時間以内に提出された最初の法案は移民制度の改善に関する法案だった」といい、ベイヤーは「それは『2021年米国市民権法』と呼ばれている」と述べ、ハリスは「その通りだ」と答えるが、ベイヤーは「それは本質的に市民権への道だった」と述べた。ハリスは「法に基づいている」というが、その「法」は600万もの不法移民に容易く市民権を与える「悪法」だ。

ベイヤーが「有権者の79%がこの国が悪い軌道に乗っている」との調査を示し、「貴女は3年半も政権に居ますね」と問うた時には少し言葉に詰まり、「トランプも立候補していた」と述べてから「彼は集会で国民を軽視する発言をする」などとトランプ批判を激しく繰り返した。

バイデンの能力低下に「いつ気付いたか」との問いにも一瞬間を空けて「大統領執務室で見て来たが、彼は判断力と経験を持っている」と答え、ベイヤーに「彼は投票用紙に載っていない」と切り返される始末だ。

こうした「ハリス構文」は「word salad」(文法的には正しくても意味が支離滅裂な話や文章のこと)と揶揄されている。例えばハリスはベイヤーに対して次のように述べる。

トランプは平和的な抗議活動に参加している人々を攻撃すると発言した。彼は自分の意見に反対する人々を投獄すると発言した。米国は民主主義国家だ。そして民主主義国家のアメリカ合衆国大統領は、批判に対処する用意があるべきであり、批判に対して投獄するとは言わないべきだ」と述べた。