そして日常会話や文章で頻出する「彼」や「彼女」を脳はどうやって特定の名詞と結び付けているのでしょうか?
名詞と代名詞を結びつける脳細胞が存在する
脳はどうやって名詞と代名詞を結び付けているのか?
この謎を解明すべくオランダ神経科学研究所の研究者たちは、新たな実験を行うことにしました。
調査にあたっては治療のために脳で記憶を司る海馬に電極が差し込まれた患者たちの協力を仰ぎ、たくさんの写真を見せ、特定の画像のみに反応する細胞をみつけました。
たとえば「シュレック」の画像には反応するものの、他の画像には反応しない細胞などです。
このような特定の個人と結び付いた細胞は概念細胞と呼ばれています。
有名人である「キムタク」を知っている人の脳内には「キムタク細胞」が存在しており、木村拓哉の写真をみたり名前を読んだ時にのみ活性化するわけです。
その後、患者が「シュレックがフィオナと夕食を食べた。そして彼はワインを注ぎました」という文章を読だときの脳活動を調べてみました。
するとシュレックに反応する概念細胞が「彼」という部分でも活性化していたことが明らかになりました。
この結果は、私たちの脳は代名詞を特定の人と即座に結び付けていることを示しています。
概念細胞には「彼」という代名詞の運ぶ曖昧な情報から、曖昧さを解消する役割を持っていたわけです。
このような代名詞の使用に依存した概念細胞の活性化は、サルではみられず人間だけで観察されました。
これまでの研究によりゾウなど一部の動物は知り合いを名前で呼ぶことが知られていますが、人間以外の動物は「代名詞」を使いこなせないのかもしれません。
アフリカゾウは互いに「名前」で呼び合っている!?ヒト以外で初!