昔は「右手で」、今は「選べる」
―――これまでの左利き人生で感じていた疑問や不満はありますか?
加藤さん:現在、大人の左利きの方は同じような方が多いと思うのですが、子どもの頃に文字を書いたりお箸を持つのを、右手でするように躾けられた方も多いと思います。私も例外ではなく、鉛筆を右手で持ちなさいとか、右手で箸を持って食べなさいと言われ、辛い思いをしたこともありました。
――昔はそれが当たり前のような感じでしたが、今のお子さんたちではどうなっているのでしょうか。
加藤さん:今は利き手を無理に変えさせることが、脳の発達などに影響が大きいということがかなり一般的に知られるようになってきました。なので、保育園や幼稚園、小学校でも、親御さんから(右手に持たせてほしいという)特別に強い要望がない限りはそうしない施設が多いと思います。
私にも小学生の子どもがいますが、学校で使う文房具の(購入)斡旋時でも、必ず左利き用のハサミが選択肢で選べるようになっていたりするのを見ます。そういったところで、左利きを取り巻く環境は昔に比べるとぐっと良くなったなと思っています。
―――以前は右利き用しかなかったのが、左利き用も選択できるようになっているというのは、大きな変化ですね。
機能的で優れたデザインの左利き商品を海外にも
―――今後、左ききの道具店をどのように展開していきたいですか?
加藤さん:すでに開始していることですが、海外のお客様への販売には力を入れていきたいと思っています。私たちの扱う道具には日本製の優れた商品がたくさんありますので、左利きの方に使いやすく、機能的で優れた日本の道具を世界の方にお届けできたらと思っています。海外展開では「HIDARI」という名前を使っています。
―――海外の方からの反響はどうですか?
加藤さん:左利きという特性自体は国が違っても変わるものではないので、特別に日本の方と異なるご意見というのは今のところないんです。ただ、「こういう商品は見たことがなかった」と驚きの声や「とても気に入っている」という喜びの声は、まだ数は少ないですがいただいています。