新条約の主要項目の第3条では「締約国は、地域および国際の平和と安全を確保するために協力する。いずれかの締約国に対する武力侵略行為の直接的な脅威が生じた場合、締約国は、いずれかの締約国の要請により、立場を調整し、脅威の排除に向けた協力のための具体的な措置について合意するため、遅滞なく二国間交渉のチャンネルを活性化する」と記され、そして第4条では「いずれかの締約国が一国または複数の国から武力侵攻を受け、戦争状態に置かれた場合、他方の締約国は、国際連合憲章第51条および朝鮮民主主義人民共和国およびロシア連邦の法律に従い、遅滞なくあらゆる手段で軍事的およびその他の支援を提供する」と明記されている(「『露朝新条約』の全容はこれだ!!」2024年6月26日参考)。

時事通信によると、「ウクライナの情報機関筋は、ウクライナ侵攻を続けるロシア軍が北朝鮮人による特別部隊を編成していると明らかにした。現地メディアのウクラインスカ・プラウダが15日報じた。部隊の名称は『ブリヤート大隊』で、最大3000人と推定される。ロシア西部クルスク州の一部を占領するウクライナ軍との戦闘に加わるという見方が出ている」という。

北朝鮮側がプーチン大統領の要請を受けて弾薬や大砲などの武器供給のほか、兵士も派兵しているとすれば、北側はロシアから何らかの代価を得ていると考えて間違いないだろう。具体的には、ロシアから核関連、軍事衛星、原子力潜水艦関連の技術支援を得ているはずだ。

北朝鮮では現在、軍需工場はモスクワへの武器生産でフル回転だ。インスブルック大学のロシア問題専門家、マンゴット教授は「ロシアと北朝鮮間の貿易総額は前年比の9倍に急増している」という。ただし、北側は無制限にロシアに武器を供給することはできないし、派兵できないことは言うまでもない。ある一定期間、一定の数しか支援できないはずだ。

金正恩総書記は昨年末から韓国を「敵対国」とし、これまでの南北間の協力プロジェクトは完全に停止された。北朝鮮軍は15日、韓国につながる道路と鉄路の一部を爆破したと発表したばかりだ。金総書記の対韓国強硬政策はロシアとの軍事協定の締結後から一層、強化されている。金正恩総書記は軍事大国ロシアの支援を受けて、自信を深めているのかもしれない。