同じことは以前お伝えした半導体メーカー、インテル社の苦境にもみられます。結局、ボーイング社もインテル社も図体が大きくなったけれど手と足がバラバラに動いて能力を発揮できていないということかと思います。その究極のポイントは従業員が仕事に愛を持っていないとみています。会社の知名度という看板、高給、プライド、従業員には夢はなく、経営者には勝者の驕りがそこにあるのだと思います。

そういう意味では清貧的な思想である日本はまじめに積み上げることが多く、業績はおおむね良好に推移するだろうと予想しています。いま、ちょうど北米では7-9月期の決算発表が始まったところで先陣を切って金融大手の決算が発表になっています。ゴールドマンとモルガンスタンレーの決算は好調、JPモルガンは決算全般は冴えなかったものの投資銀行部門が支えとなり株価は上昇しました。一方、バンク オブ アメリカやシティは冴えない結果となり、まちまちの状況に見えます。

今後ですが、注目したのは英国の9月インフレ率が前年同期比1.7%まで低下したことです。カナダも9月度は1.6%まで下がっています。アメリカが同じ期で2.4%で失望されたのですが、カナダと英国が8月比べ加速度的に下がっていることからアメリカで11月に発表される10月のCPIが2.0%前後まで下がる公算はあります。その場合、利下げピッチの議論が再度高まる公算があります。カナダでは次回の中銀政策決定会合では0.50%の引き下げが議論の焦点とされます。そりゃそうです。現在の政策金利が4.25%でインフレ率1.6%では整合性が取れないのです。

利下げは基本的に企業の借入金金利負担を下げますので株価には有利になります。特にハイテク業界は借入金が多いため、このメリットを享受しやすく株価にはプラスになるとされます。ただし、AIブームはやや行き過ぎのきらいもあり、個人的には深追いには全く興味がありません。むしろ現在、幕張メッセで開催されているCEA TECHでAIを現実社会に落とし込む面白いアイディアを提供している企業の方になにか夢を感じます。