■これは伝説になる…

関東大震災の影響により、商店に保管されていた魔法瓶の大部分は壊れてしまった。しかしなんと、虎印魔法瓶が納品した100本の魔法瓶は、全て無傷で残っていたのだ。

タイガー魔法瓶担当者は「1本も壊れなかったという事実はすぐに業界に知れ渡り、東京中から注文が殺到。3年後には東京市場の85%を占めるまでになりました」と、反響の大きさについて説明している。

令和の現代に生きる我われから見ても、じつに驚異的なエピソード。当時の人々からすれば、正に「魔法瓶」の名に相応しい魔法のように感じられたことだろう。

もちろん100年の時を経て、同社の魔法瓶の性能はさらなる向上を見せている。

担当者は「大きな違いはやはり、ガラス製・ステンレス製の材質となります」と断言。現在ではステンレスの魔法瓶が主流となっており、同社では1981年よりステンレス製のボトルを発売している。

大地震に襲われたタイガー魔法瓶、信じられない光景に目を疑う 4割弱が「想像できなかった」事態とは…
(画像=『Sirabee』より引用)

80年代は魔法瓶業界で見ても転換期に当たるようで、担当者は「85年には、ステンレス製の国内向け携帯用魔法瓶出荷総数が、ガラス製を上回るという急成長を見せました」とも補足していた。

大地震に襲われたタイガー魔法瓶、信じられない光景に目を疑う 4割弱が「想像できなかった」事態とは…
(画像=『Sirabee』より引用)

タイガー魔法瓶のステンレス製魔法瓶が急速に普及した理由について、担当者は「『割れない』という大きなメリットに加え、研究努力により保温力の増強、コンパクト化、軽量化など商品のベースになる性能を向上させたことによるものと考えております」と分析。

続けて「ただ、創業当時のガラス製であっても『割れやすい』というイメージを覆す魔法瓶を目指し、創業者・武範の『商品を作り出す以上、人々から喜ばれ、愛されるものでなければならない』という信念と重ねた工夫により、上記の関東大震災の際のエピソードに繋がっており、その想いは現在も変わっておりません」と、1世紀に渡って変わらない同社の熱い思いを語ってくれたのだ。