一部の喫煙者は65歳、75歳まで生きますが、やはりその時点で喫煙したことがない同性代の人と比べると、余命には4~6年ほどの差が生じます。
これらの結果は、「タバコを吸い続けた人」と「全く吸ってこなかった人」では、残された寿命に大きな違いが出ることを示しています。
では、既にタバコを吸い続けてきた人は、現時点で禁煙することで、余命に何らかの影響を与えることができるのでしょうか。
研究の結果、35歳、45歳、55歳、65歳、75歳まで喫煙してきた人が、その時点で禁煙すると、平均して8.0年、5.6年、3.4年、1.7年、0.7年の余命の損失を回避できると分かりました。
これまで喫煙してきた人は、喫煙してこなかった人と同じ健康状態にはなれません。
しかし、禁煙することは無駄ではなく、できるだけ早くやめることで、そのままでは失われてしまう寿命を守ることができます。
35歳や45歳でタバコをやめれば、寿命が5~8年も伸びるという事実は、働き盛りの人々が禁煙するための強い動機付けとなります。
では、65歳や75歳で禁煙する人が、半年~2年ほどしか寿命が延びないのであれば、「やめる意味はほとんどない」と考えるべきでしょうか。
そうでもありません。
研究結果によると、65歳で禁煙した人の約10%が、やめなかった人と比べて、8年寿命を延ばしていることが分かったからです。
そして75歳で禁煙した人の8%が、やめなかった人と比べて、4年寿命を延ばしていたのです。
こうした数字は、長年喫煙を続けてきた65歳や75歳の愛煙家やその家族にとって、希望となるはずです。
たとえ「今更やめたところで」と感じたとしても、そこからできるだけ早く禁煙することで、余命が何年も延びる可能性があるのです。