ちなみに、教皇フランシスコの回勅『フラテッリ・トゥッティ』は、2020年10月3日に発表されたカトリック教会の文書だ。この回勅のタイトルの『フラテッリ・トゥッティ』(Fratellitutti )は、アッシジの聖フランシスコ(1181~1226年)の言葉に由来し、「すべての兄弟姉妹へ」という意味だ。教皇フランシスコはこの文書を通して、国境を越えた連帯と協力を促進し、分断や対立を乗り越え、包括的で平和な社会を築くことを強調し、普遍的な兄弟愛、個人主義の克服、共通の善などを提唱している。

なお、ハリク氏は新しい著書で、時代の徴候を読み取ることのできる、勇気と責任を持った包括的でエキュメニカルな教会を提唱している。現代世界における宗教の意義を再考し、特に世俗化が進むヨーロッパにおいて、キリスト教がいかにして希望や意味を提供し続けられるかを問いかけているわけだ。

ハリク氏の見解はカトリック教会、キリスト教会の枠組みを超え、世界の宗教指導者たち、知識人たちに新たな力を与える啓蒙的な内容を含んでいる。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年10月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。