14日付のバチカンニュースは2日から開催中の世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会に関連する記事を満載しているが、その中で著名なチェコの宗教哲学者トマーシュ・ハリク(Tomas Halik)のバチカンラジオとのインタビューが紹介されていた。ハリク氏は「教会は病んでいる」と述べた聖職者であり、チェコスロバキア共産党政権時代の1978年、密かに神父に叙階され、地下教会を体験してきた人物だ。カトリック神父、宗教哲学者、神学者であり、特に宗教的対話や信仰と社会に関する問題で国際的に評価されている。彼は多くの著作を執筆し、信仰と現代世界の問題を橋渡しする知識人として知られている。

チェコの宗教哲学者ハリク氏(2024年10月14日、バチカンニュースから)

ハリク氏(76)は「フランシスコ教皇はシノダリティを新しい形のキリスト教徒であること、教会であることとして非常に率直に語っている。それは単に教会の制度的構造を変えることではなく、新しい思考、新しい心の持ち方を求めるものだ。だから制度的な変化を期待している人々は失望するかもしれない。これは長い道のりだ。重要なのは方向性を示すことだ。シノダルな出会いは目標ではなく出発点だ」と説明する。(「シノダリティ」とは、カトリック教会における共同体としての歩みや、教会の意思決定プロセスにおいて信徒、聖職者、司教たちが共に歩む姿勢を意味する。要するに、「共に歩む教会」の姿勢を示す)

ハリク氏は新しい著書『新しい朝の夢―橋を架ける人々への手紙』で、大きな視点で物事を考えることを求めている。曰く「シノダリティの原則、つまり相互に耳を傾け、違いを持ちながらも調和を保ち、共に決断することは、国家間や文化間、宗教間の関係にも導入されるべきだ」と訴えている。同氏は、宗教と社会の対話、特に信仰を失いつつある現代社会におけるキリスト教の役割や意義について強い関心を持っている。彼は信仰の複雑さを受け入れ、疑いと探求を信仰の重要な要素として捉える姿勢を持ち、異なる宗教や文化との対話を推進し、宗教的な共存や和解を呼びかける活動も展開している。