では民主主義ならどんな場合でも成功するのか、という点についてはこれまた国家の影響が出やすいと言わざるを得ません。例えば日本はマズローの5段階で個人的には第3段階の「社会的欲求」程度ではないかとみています。それは社会が平等ながら出る杭を打つ独特の社会的構造を形成しているからです。もちろん、第4段階の「承認欲求」や第5段階の「自己実現欲求」に至る人もいます。私はこれが格差として表れているのではないかと思うのです。
つまり一般に格差とは経済的なものでありますが、日本の場合はそれ以上に思想的な格差を感じるのです。なぜかといえば安心安全が絶対基準の日本においてそこから先、努力するには高いハードルがあるからです。そのハードルを乗り越えるのが「かったるい」と思えば第3段階でとどまるのです。
ではアメリカはなぜ成長と格差が共存するのでしょうか?私は意外にも銃社会や移民を含む様々な人種がいることで第3段階では不満なのだと考えています。例えば苦労して購入した住宅の隣人が狂人だったとしたらどうでしょうか?嫌ですよね。だからなるべく早くもっと安全で快適なところに引っ越したいと思うでしょう。これが安心安全が担保されないアメリカにおける格差の原動力ではないかと考えるのです。
アメリカやカナダの一部では残念ながら今でも白人至上主義はあります。というより私は白人閉鎖社会と申しげたいと思います。白人には人種的保守思考と共にアジア人やヒスパニックの思想を理解しようともしないし、価値観を共有しにくいと考える人はいるのです。事実、コンベンションなど様々な人が集まる場所に行くとエスニックないし肌の色による分離はナチュラルに起こります。
英国ロンドンでかつて街からロンドンっ子がいなくなったと言われたことがあります。アジアからの富裕層の移民がロンドンを占拠し、英国人が逃げたというものです。ここバンクーバーでも郊外に行けば基本的には白人社会で極めて保守的です。バンクーバーから車で1時間も行けばそんな感じだし、州都ビクトリアを含むバンクーバー島という大きな島がありますが、こちらも白人主導社会であります。