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マルクス「資本主義崩壊論」

カール・マルクスは主著「資本論」で「資本主義が発達すれば社会主義に移行する」という「資本主義崩壊論」を主張した。

すなわち、資本主義が発達すると、資本の集積・集中が進み、機械化による資本の有機的構成が高度化して相対的過剰人口=産業予備軍(失業者)が増大する。その結果、労働者階級の貧困・抑圧による階級闘争が激化し、社会主義革命により資本主義が崩壊して社会主義に移行するというのである(マルクス「資本論」第1巻 向坂逸郎訳951~952頁岩波書店)。

 

しかし、欧米や日本など資本主義が発達した先進資本主義国から社会主義に移行した国は皆無である。反対に、ロシア、中国、ベトナム、北朝鮮、キューバ、ラオスなど、資本主義が未発達な国に限って社会主義に移行している。

レーニン「不均等発展の法則」

そのため、レーニンは「資本主義の不均等発展の法則」を提起し「資本論」を修正した。すなわち、資本主義社会では生産が無計画のため発展が不均等になり、帝国主義の鎖の輪の弱い後進資本主義国から社会主義に移行すると主張した(レーニン「帝国主義論」レーニン全集第22巻277頁大月書店、スターリン「スターリン全集」第1巻12頁大月書店)。

しかし、この理論は、資本主義が未発達であり、「資本論に反する革命」であったロシア革命をひたすら正当化するための理論に過ぎず、「生産力の発展が生産関係を決定する」(マルクス「経済学批判」14頁岩波書店)とのマルクス主義の根本原則である「史的唯物論」の否定である。