例えば、ベンチプレスを10回で終えて、あと2回できる場合、そのRIRは2となります。
今回の研究では、これまでに発表された筋トレの介入実験を詳細に分析し、各トレーニングのRIRを推定した上で、筋力向上と筋肥大への効果を明らかにするアプローチが取られました。
その結果、筋力向上については、追い込む度合いを表すRIRは、効果とほとんど関係がないことが分かりました。
また、ゾウルドス教授らは他の研究成果を踏まえ、筋力向上を最大限に得るためには、追い込むことよりも強度、つまりできるだけ重い負荷設定でトレーニングすることが重要であると示唆しています。
一方、筋肥大については、RIRとトレーニング効果の大きさに線形関係が認められ、追い込むと、筋肥大効果が高まることが示されました。
ゾウルドス教授らは、特に軽い重量でのトレーニングの場合、Training to Failureに近づくほど筋肥大効果が高い筋線維が動員される傾向があることを指摘し、このような負荷で行う場合にはしっかりと追い込むことのメリットを述べています。
まとめると、今回の結果は、筋トレの目的が筋肥大か筋力向上かによって、追い込む目安が変わることを示しています。
ボディメイキングを目的とし、筋肉をできるだけ大きくしたい場合には、トレーニングである程度追い込むことが望ましいです。
一方で、日常生活の質の向上や怪我の予防を目的として筋力を高めたいが、追い込むのが苦手な人は、余裕を残して終えても、目標を達成するためには十分有効なアプローチと言えるでしょう(例:最大で6回しか反復できない重さを3回でストップする)。
ただし、ある程度追い込まないと自分の現状の能力を正確に把握できないため、毎回のトレーニングで余裕を残しすぎると、トレーニング時に適切な重量を選択できなくなる恐れも生じます。