2. ジョイタ号:謎の漂流船、腐敗臭の真相は?
1955年半ばまでにニュージーランドに帰港する予定だったアメリカの商船ジョイタ号が消息を絶った。そして数週間後、南太平洋の真ん中で、予定の航路から600マイル(966キロメートル)以上も離れた場所で発見された。船は完全に放棄されていたが、奇妙なことに遭難信号は受信されておらず、その間、周辺海域で悪天候の報告もなかった。
さらに奇妙なことに、船内には何らかの事件や事故が発生したことを示す痕跡は一切残されていなかった。遺体も発見されず、乗組員たちは忽然と姿を消したかのようだった。甲板には医者のバッグと、少量の血痕が付いた包帯が発見されたが、それだけでは殺人事件やその他の凶悪な事件を疑うには十分ではなかった。
しかし、船内には腐敗臭のようなものが漂っていた。発見当時は、船とその乗組員に何が起こったのか全く分からなかったが、この腐敗臭は、現代の研究者たちに事件の真相を解き明かすヒントを与えた。
2002年、ニュージーランドの学者デイビッド・ライト氏は、長年の研究を経て、一つの仮説を提唱した。彼の説によると、エンジンの冷却システムの錆びたパイプから水が漏れ出し、船内に徐々に浸水していったという。そして、パイプが腐食してしまい、船は沈没(または部分的に沈没)し、乗組員は全員死亡したというのだ。