そうなるとカクレウオはナマコにとって繁殖まで妨げる恐るべき寄生生物のように思えますが、ナマコは驚くべき再生能力の持ち主であり、自らの失った器官をトカゲの尻尾のように再生させることができます

そのため、一時的にカクレウオに生殖腺を食べられても、ナマコには特に影響がありません。

お尻の穴に住まわれてもあまり害がないからこそ、ナマコの方も特別手を打たないのでしょう。

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ナマコのお尻の穴から出てきたカクレウオを標本化したもの/Credit: commons.wikimedia

このようにカクレウオにとってナマコは厳しい自然界を生き抜くための最良の隠れ家となっています。

身を隠すだけなら海草や岩場の間でもよさそうですが、そうした場所はカクレウオの天敵も徘徊しているので少なからず危険が残っています。

しかしナマコのお尻の穴であれば、体にもピッタリとフィットしますし、頭まですっぽりと隠れてしまえば天敵に見つかる心配がありません。

また酸素も常に供給されていますし、小腹が空けばナマコの生殖腺を食べることもできます。

こうした理由からカクレウオはナマコのお尻を隠れ家として愛用し続けているのでしょう。

ただナマコにとっては何のメリットもないようなので、この共生関係は一方的なものと見られています。

多くの専門家は現在のところ、共生というよりナマコは特に気にするほどの影響がないためカクレウオのことは無視していると解釈しています。

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参考文献

Pearlfish: The eel-like fish that lives up a sea cucumber’s butt
https://www.livescience.com/animals/fish/pearlfish-the-eel-like-fish-that-lives-up-a-sea-cucumber-s-butt