こうした場合、砂に埋もれるなど様々な隠れ方を魚たちは試していますが、彼らは非常に大胆で驚くべき隠れ場所を選びました。
それがナマコのお尻の穴の中なのです。
しかし一体どうやってそんな場所に隠れるのでしょうか? その方法を見てみましょう。
まず、カクレウオは手頃な大きさのナマコを見つけると、肛門近くに顔を近づけてお尻の匂いを嗅ぎ始めます。
ナマコはお尻の穴を開いたり閉じたりして呼吸をするので、匂いで穴が開くタイミングを伺っているのです。
そして「あっ、開くぞ」と感じたら、カクレウオはすばやく尻尾の方からナマコのお尻の穴に身をすべり込ませます。
その実際の様子がこちら。
(※ 音声はありません。お尻の穴に入り込む様子は動画の40秒あたりからご覧いただけます。)
お尻の穴に顔をべったりと付けておき、穴が開きそうになったら尻尾を顔の方まで折り曲げて、開いた瞬間にシュルッ!と滑り込ませる。
実に見事なものですね。
頭からお尻の穴に入り込む場合もありますが、それはナマコの肛門の大きさによって決まります。
カクレウオの頭が十分に入るほど大きければ、そのまま頭から入ることもあります。
ただ外の様子を逐一チェックするには尻尾から入って、頭を肛門から出し入れする方が便利なようです。
ナマコは餌としても便利?
カクレウオはナマコのお尻の穴に入り込むと、腸の両側で呼吸器として枝分かれしている管の中に入り込みます。
そのため、ナマコの排泄などに直接影響を受けることはありません。
それからナマコは肛門を開閉しながら水を出し入れしているので、ちゃんと酸素も供給され続けています。
また基本的にはナマコ1匹に対してカクレウオは通常1匹ですが、過去の研究では1匹のナマコの中に15匹のカクレウオが潜んでいた事例も報告されたことがありました。
さらにカクレウオは基本的にはナマコのお尻の穴をシェルターとして使うだけなのですが、時々、ナマコの生殖腺を餌として食べる種もいます。