集会やデモへの参加を呼びかけたのは活動家や政治家だけではなかった。いくつかの生協が集会やデモへの参加を呼びかけたほか、会員を組織して生協名を書いた旗を掲げて参加した例もあった。

集会やデモの多くに共産党など左派政党だけでなく、極左暴力集団の中核派が深く関与していた。自主避難した母親に賃貸住宅を斡旋したり、生活保護受給の手伝いをするだけでなく、機関紙しんぶん赤旗の購読と配達をさせ、政治活動に動員した共産党員が居た。筆者が知るかぎり、共産党員が関与した例のすべてで正体を隠した勧誘活動が行われていた。

自主避難者が囲い込まれただけでなく、いままで政治と縁遠かった人々も不安が怒りに変換されて、政府や政権や特定の政治家を批判または攻撃する政治的な主張に染まっていった。こうして後のSEALDs現象など政治の季節と呼ぶべき2010年代中盤以降の潮流が生じたのだった。

なお中共が台湾で行っている世論工作「認知戦」と、扇動の循環構造の共通点については後述する。

二度あることは三度も四度もある

原発事故と能登半島地震だけでなく、神宮外苑再開発反対運動も「扇動の循環構造」で支持者を増やし、オピニオンリーダーの主張に追随した人々の不安や不満を怒りに変えていた。そして怒りの矛先が、政治的な意図のもと都知事選で小池百合子氏に向けられたのは記憶に新しい。「扇動の循環構造」は原発事故後に突如現れたものではなく、扇動の常套手段なのだ。

原発事故と能登半島地震のような大きな災害。神宮外苑再開発反対運動のように、公園が変貌するという身近なわかりやすいテーマ設定。これらで人々の感情が弄ばれ、弄ばれた人たちが扇動されている。追随層の中に音楽家、作家、文化人といった著名人がいて、これらの人々は扇動されているにも関わらずオピニオンリーダーと同格に扱われ、報道やSNSで広告塔を演じさせられていた。

以降、続きはnoteにて