そして後戻りもまた単純ではなく、キキクタニアのように陸上を歩いていた特徴を残しつつ、水中生活に即した体へと新たな方法で適応していました。
またキキクタニアの「出戻り」は、歩きはじめた魚たちにとって、陸上が必ずしも「楽園」ではなく撤退を余儀なくされる厳しい環境であったことを示します。
当時の陸上動物の王者は先行して上陸していた虫たちであり、虫たちは、やっと歩き始めた魚たちに比べて遥かに俊敏で、空中を飛びまわれるものも多くいたからです。
研究者たちは今後も魚の上陸過程とその多様性を明らかにしていく、とのこと。
もしかしたら、水から陸への移行期に過ぎないと考えられていた歩く魚たちには、思ったよりも複雑な世界を持っていたかもしれません。
※この記事は2022年7月公開のものを再掲載しています。
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参考文献
New fossil shows four-legged fishapod that returned to the water
https://biologicalsciences.uchicago.edu/news/new-fossil-shows-four-legged-fishapod-returned-water
元論文
A new elpistostegalian from the Late Devonian of the Canadian Arctic
https://www.nature.com/articles/s41586-022-04990-w
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。