このように粘土がフタをしていたことで、岩石の隙間には外部から微生物が入り込めないこと、それと逆に隙間の微生物は外部に移動しづらくなっていることが判明しました。
つまり、今回見つかった微生物は掘削のプロセスで外部から混入したものではなく、約20億年間にわたりこの岩石内部で脈々と世代を繋いできたと考えられるのです。
研究者らは、微生物たちが岩石内部で利用可能な無機および有機物を代謝することで生存してきたと考えています。
チームは次なるステップとして、ゲノム解析を行って、これらの微生物がどれだけ進化しているかを明らかにする予定です。
もし20億年もの間、微生物が岩石内部でほとんど進化しておらず、原始的な状態を留めているのであれば、地球の生命の起源や初期の生命進化の謎を解き明かす重大な情報が得られると期待されています。
しかし、この20億年前の岩石は現時点で、”史上最も長く続いている生物の楽園”と呼べるでしょう。
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参考文献
20億年前の岩石内部に生きた微生物を発見 —粘土で詰まる隙間に高密度で生息—
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/10513/
元論文
Subsurface Microbial Colonization at Mineral-Filled Veins in 2-Billion-Year-Old Mafic Rock from the Bushveld Igneous Complex, South Africa
https://doi.org/10.1007/s00248-024-02434-8
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部