まず、『万世一系』とは何かだが、その基本は、4世紀の崇神天皇による大和・さらには本州中央部統一と仲哀天皇・神功皇后による全国統一で創始された日本国家において、王朝交代はないということだ。さらに、崇神天皇の王国は、9代前の先祖である神武天皇とのちに呼ばれるようになる人物が、宮崎から大和にやってきて創始したものだということだ。

『日本書紀』の記述は、古代の天皇の寿命が長すぎるので、これを合理的な長さに修正すれば、中国の史書、好太王碑などと矛盾はなく、王朝断絶がなかったと断言はできないが、とくに嘘だろうという根拠もない。

男系男子の継承が未来永劫続けられないなら、皇室制度は意味がなくなるのかというほどではないが、一般に、世襲君主制は従来の継承原則に沿っているのが正統性の基本なのであるから、必要もないのに変えるのは、権威を損ない国家統一を危機にさらすことになるのは歴史が証明している。

たとえば、神聖ローマ帝国の皇帝を独占していたハプスブルク家は、女子のマリアテレジアに継がせたことから弱体化し、プロイセンにドイツの盟主の地位を奪われ、ハプスブルク家の支配地はドイツから離脱した。

現在、政府が進めようとしている案は、悠仁さままでの継承は既定路線としているが、これは世界の常識として当然のことである。ヨーロッパで男子優先を様々な形で緩和しようという動きがあるが、すでに生まれた子については、従来の原則によるということになっている(スウェーデンのみ三子である弟に姉が優先したが、これは、生まれる前から議論して一歳半までに変更したので、すでに成人している悠仁さまの地位を議論する場合の参考にならない)。

ただ、悠仁さまに男子ができなかったときのためにも、男系男子の旧宮家の子を現在の皇族の養子にする、また、愛子さまや佳子さまをご本人だけ結婚後も皇族身分を保持してもらうことで、場合によってはその子孫も皇位継承の候補者とする余地を残すというこというものだ。