■フランスの学者ルイ・パスツールが開発

そんな恐ろしい病気を防ぐ狂犬病のワクチンを開発したのは、“近代細菌学の祖”とも言われている、フランスのルイ・パスツールだ。

光学異性体の発見やラセミ酸の合成成功、低温殺菌法の開発など数々の功績を経て、炭疽菌や狂犬病のワクチンを開発。1885年、狂犬に噛まれて傷を負った少年へワクチンを投与したところ発症を免れ、これが第1号の成功例となった。

この成功の後、パスツールはフランス科学アカデミーに狂犬病ワクチンの完成を論文で発表し、世界中で多くの人が救われていくこととなる。有効な治療法がない狂犬病においては、ワクチンによって発症を防ぐことが唯一の命を救う手立てとなる。