黒坂岳央です。 SNS上で盛り上がっているネタに「実際に40代になるとこんなに若い頃と違う!」というものである。白髪が増え、眠れなくなり、食べられなくなり、体型も変わる…様々なネガティブな変化が取り上げられている。

自分自身、20代前半から「40歳からの人生」についてたくさんの書籍を読んで10年以上「予習」をしてきた。いざ自分が40代になってみて、世間で言われている話に強いギャップがあると感じる。

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頭脳

「40代になると頭が動かない。新しいことが億劫。暗記ができない」

このような意見を多数見る。しかし、筆者はまったく異なる感覚がある。事前にこのような意見が世にあることはわかっていたので、自分はずっと勉強や仕事を続けてきた。その結果、今が人生史上、最も頭脳明晰で物覚えもよく、新しい分野への好奇心も強いということである。

「40代になると頭が動かない」という指摘は、多くの場合は老化というより使わなくなって鈍っただけである。日本人が最も頭を多面的に使うタイミングは18歳がピークで、大学入学以降は頭脳労働者以外はあまり頭を使わなくなる。20年間も使わない機能は何歳だろうが衰えて当然である。

確かに自分も多くの経験をしてきたことで「感受性」については若い頃より鈍くはなったと思う。だが、その反面、学問や知的好奇心、先端テクノロジーへの興味関心は若い頃より圧倒的に強くなった。歴史や地政学、経済は面白くて仕方がなく、勉強していると時間がいくらあっても足りなくなってしまう。これは自分がずっと頭を使い続けてきたからだと思っている。

そしてそれは特別な才能などなくとも、誰にでもできることだ。筆者がやってきたのは本や文献を読み、講演に参加したり、学んだことを動画や記事で発信し続けてきただけである。そして使い続ける能力は40代くらいではそうそう落ちることはない。暗記力も創意工夫や記憶の技術を凝らせば、技術なき10代を超えることだって可能だ。