サロモン一家は、ごくありふれた郊外に住む家族だった――。

■ある夜に忽然と消えた一家

サロモン一家はイスラエルからの移民で、夫のソル・サロモン(35歳)、妻エレイン、息子ミッチェル(9歳)、そしてエレインの連れ子ミシェル・ホックマン(15歳)は、米カリフォルニア州ノースリッジの静かな地域に住んでいた。

夫のソルは消火器関連の仕事をしており、一家はすべての点において、非の打ち所がない普通の家族であった。

それは1982年10月12日の事だった。

妻エレインの両親が一家を訪問していたが、午後6時頃になると夫ソルは、ハーベイ・レーダーという仕事関係の男と一緒に、車のオークションに行くと言い残し、家を出た。

エレインの両親は夜10時半頃に帰り、その後エレインは友人に電話をかけていた。友人によると、エレインは夫の仕事仲間のレーダーが家に来たから、と言って電話を切ったという。

そしてそれが、サロモン一家が最後に残した言葉だった。その後、家族全員が姿を消し、その謎は現在に至るまで解決されていない。

【未解決事件】忽然と姿を消したサロモン一家の謎! 怪しい男、生存証言、モサド… 疑惑・陰謀が渦巻く
(画像=画像は「LAmag」より、『TOCANA』より 引用)

次の夜、近所の人たちはサロモン家のプールの水が溢れ、隣の庭まで水びたしになっていることに気付いた。

人々がサロモン家に行った時、ドアは施錠され中は暗かった。家の前にソルのベンツは見えなかったが、派手なワイン色のロールスロイスと彼の仕事用のバンが置かれていた。そして裏庭では、サロモン家の犬が歩き回っていた。

その日、誰もサロモン一家を見ていないことが明らかになった。妻のエレインはクリニックでボランティアのカウンセラーをしていたが、姿を見せなかったし、息子と娘は2人ともその日学校に行っていなかった。人々は、何かがおかしいと感じ始め、ついに警察が呼ばれた。

当局が現場に到着した時、ドアは施錠されており、警報も作動しておらず、誰かが侵入した兆候はなかった。周りを見回しても、すべては整理されており、一家は今にも家に帰ってきそうに思えた。寝室のベッドも全て整えられていたが、後にエレインの母親は、娘一家は日常これほどきちんとベッドを整える習慣はない、と主張した。

ミシェルの部屋に着くまでは、すべて何もかも普通だった。しかし、ミシェルの部屋では、枕カバー、シーツ、ベッドカバーがベッドから無くなっており、寝室の壁とマットレスには小さな血しぶきが付いていた。そして奇妙なことに、カーペットが床から切り取られ、バスマットで覆われていた。裏庭ではプールの水道の蛇口が開かれたままで、さらに近くに野球のバットが転がっていた。すべてが奇妙ではあったが、警察は証拠が無いとして、事件として扱わなかった。