これについて、マウリッツハイス美術館のマーティン・ゴスリンク(Martine Gosselink)館長は「フェルメールの作品の多くは通常、どこか1点に焦点を当てて、その他の部分は少し曖昧にしている特徴があるのに対し、『真珠の耳飾りの少女』は目元・口元・耳飾りと視線を集めるポイントが複数あることに大きな違いがある」と指摘します。

このことからフェルメールは「持続的注意ループ」が生じやすくなるよう、言い換えるなら、観る者の脳が恋に落ちてしまうよう意図的に『真珠の耳飾りの少女』を描いた可能性があるのです。

また鑑賞者の脳波データを分析すると、大脳の内側にある「楔前部(けつぜんぶ)」という領域が顕著に活発化していました。

この脳領域は自己反省過去のエピソード記憶の再生に関与しているため、鑑賞者は『真珠の耳飾りの少女』を観ている間、個人的な思い出(例えば、初恋の相手とか亡き妻の面影など)を想起しているのかもしれません。

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鑑賞実験の様子 / Credit: Mauritshuis

研究に参加した脳科学者のマーティン・ド・ムニク(Martin de Munnik)氏は「私たちの注意は望むと望まざるとに関わらず、少女に強く引かれて、彼女を愛してしまうのでしょう」と話しました。

フェルメールの人物画では、誰かが書き物をしていたり、針仕事をしていたり、地球儀を見つめていたりと、忙しそうな人たちが描かれていますが、『真珠の耳飾りの少女』は違います。

彼女はまさに「私を見て」と言わんばかりに、あなたのことをじっと見つめているのです。

フェルメールの名画『窓辺で手紙を読む女』に隠された真の姿が修復される

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参考文献

Girl with a Pearl Earring visually captivates the viewer
https://www.mauritshuis.nl/en/press-releases/girl-with-a-pearl-earring-visually-captivates-the-viewer/