オランダの巨匠、ヨハネス・フェルメール(1632〜1675)。
彼が遺した『真珠の耳飾りの少女』は、絵画史に燦然と輝く名画として知られます。
口元にかすかな笑みを湛え、こちらをそっと見つめる少女の静かな表情は、観る者の目を惹きつけて離しません。
まるで不思議な魔力でも秘めているようですが、最近、絵を所蔵するオランダ・マウリッツハイス美術館(Mauritshuis)の研究で、なぜ多くの人が少女を飽くことなく見つめ続けてしまうのかが明らかになりました。
調査によると『真珠の耳飾りの少女』には、鑑賞者の脳を虜にするある仕掛けが隠されていたようです。
目次
- なぜ『真珠の耳飾りの少女』から目が離せなくなるのか?
- 脳を虜にする秘密が隠されていた!
なぜ『真珠の耳飾りの少女』から目が離せなくなるのか?
『真珠の耳飾りの少女』が制作されたのは1665年もしくは1666年とされています。
フェルメールが33〜34歳頃の作であり、画家としての技術が成熟しつつある時期でした。
構図は少女の上半身だけを描いた実にシンプルなもので、かすかな笑みを湛えているように見えることから「北のモナ・リザ」「オランダのモナ・リザ」などと称されています。
フェルメールは1675年に43歳の若さで破産同然で亡くなり、彼が遺した作品も競売にかけられるなどして方々に散逸しました。
『真珠の耳飾りの少女』も他の絵と同じ運命をたどり、色々な所有者の元を転々としています。
しかし1881年に「フェルメールの希少な作品が海外に流れるのを防ごう」との働きかけがあり、マウリッツハイス美術館に寄贈され、今日に至るまで同館に所蔵されることとなりました。
他方で、フェルメールがここに描いた少女が誰なのかは今もわかっていません。
彼の妻や娘のマーリア、昔の恋人、あるいは全くの想像で描かれた人物など、さまざまな説があります。