■オーストラリア・ウィトヌーム
鉱山の恩恵を受けたのは、米国オクラホマ州のピッチャーだけではない。第二次世界大戦中の1940年代には、オーストラリア北西部のウィトヌームでも“ブルーアスベスト”と呼ばれる繊維状鉱石が発見され、鉱山の街として発展を遂げる。しかし人体に悪影響を及ぼすアスベストが引き金となり、鉱山で採掘にあたっていた作業員2万人のうち少なくとも2,000人が命を落とした。さらにこの地で育った子どもの癌による死亡率は、他の地域の子どもと比べ20~80%ほども高いことが判明。住民には退去勧告がなされ、公共施設も1993年までに閉鎖がされると、最終的に町名すらも地図から抹消された。