1. 生産者物価指数

    このように企業間の物価が停滞しているのは日本だけの状況なのでしょうか。

    OECDでは、日本の国内企業物価指数に相当する指標として、生産者物価指数(PPI: Producer Price Indices)が公表されていますのでご紹介いたします。

    生産者物価指数は、OECDの解説では次のように説明されています。

    製造業における生産者価格指数は、生産者から出荷される際に販売される製品の価格の変化率を測定します。これらには、購入者が支払わなければならない税金、輸送、貿易マージンは含まれません。PPIは、さまざまな商品の生産者が受け取る価格の平均的な動きの尺度を提供します。これらは、消費財やサービスの価格の変化など、経済全体の価格変化の高度な指標として見られることがよくあります。製造業には、消費財や資本設備などの最終製品だけでなく、半加工品やその他の中間財の生産も含まれます。経済におけるインフレを測定するために、さまざまな価格指数が使用されることがあります。これらには、消費者物価指数(CPI)、特定の商品やサービスに関連する価格指数、GDPデフレータ、生産者物価指数(PPI)が含まれます。 この指標は市場全体と国内市場に対して提示され、年間成長率と指数の観点から測定されます。

    国内製造業(Manufacturing, domestic market)についての生産者物価指数が一般的なようですので、その成長度合いについて比較してみましょう。

    図2 生産者物価指数 国内 製造業 1980年基準OECD統計データより

    図2を見て明らかなように、日本(青)は主要先進国で唯一生産者物価指数が長期間停滞しているようです。

    念のため、図1の国内企業物価指数のうち工業製品と比較してみましたが、かなり一致している事を確認いたしました。

    他の主要先進国や、スウェーデン、ルクセンブルク、オランダなど所得水準の高い国々でも上昇傾向が続いています。

    1980年の水準に対して、2023年ではイギリスで4倍弱、韓国、フランスで2.5倍程度、ドイツで2倍強で、日本は1.0倍に満たない状況です。

    ただし、日本は2021年、2022年と上昇傾向が見られますので、今後はさらに上昇していく可能性もありそうです。

    図2は1980年からの成長度合いでしたので、もう少し長期の1970年からのグラフも確認してみましょう。

    図3 生産者物価指数 国内 製造業 1970年=1.0OECD統計データより

    図3が1970年を基準とした倍率です。

    1970年からのデータがある国があまりないのですが、ドイツやフランスと比べて日本は長期間停滞している様子がわかります。

    イギリス、韓国は10倍以上に達しているのが印象的ですが、ドイツもじわじわと上昇傾向が続いているようです。

    特に1980年代前半までは日本はドイツよりも上昇傾向が強かったことが確認できます。