ところが、至る所で繰り返し述べているように、共産主義自体が人類に否定されたイデオロギーであり、もはや共産主義者の革命思想は行き着く先のゴールを失ったと言って良い。

中国共産党は革命思想が未だに続いていて、彼らの論理から言えば、華夷思想に基づく漢民族支配こそが正しいのだという間違った論理だ。本当に漢民族が世界で最も優秀な民族か否かは不明だが、漢民族が世界を支配「すべき」だと言う「べき論」が中華思想の源泉にある間は、漢民族は世界から認められない。しかし、漢民族が世界を支配するまで、華夷思想を掲げ続けるだろう。

その華夷思想と共産主義を結びつけたのが、福井準造の『近世社会主義』に端を発する日本の社会主義思想だったことを忘れている人は多い。中国共産党の源泉は日本だった。三国志の時代から現代まで、中国の統治観は変わることはない。清国を倒し中華民国を設立したが、その中華民国を倒して共産主義革命と漢民族の華夷思想とを重ね合わせた思想性は現在に至るまで生き続けている。しかし、台湾に中華民国政府が存在している以上、中国共産党の革命は終わっていない。

中国共産党はGDP世界2位まで経済を伸ばしたと自慢するのに、政治イデオロギー的には、一向にその革命思想は成就しない。中華民国政府を倒してこそ、中国共産党の革命思想の実現の筈が、全く、それが進んでいない。だから習近平の革命思想の根幹である祖国完全統一の思想も終わらない。

そしてそんな絵空事を馬鹿馬鹿しいと感じているのが中華人民共和国国民でもある。中国国民は、祖国統一など全く関心が無い。それより、地盤沈下した国内経済をなんとかしてくれと言うのが、本音中の本音だ。

既に中国ウォッチャーや専門家と言われる人々から、中国国内の経済状況の実態や、若年層の失業率等、厳しい現状が報じられており、情報統制を敷いている中国共産党から本当のデータが出てくることはないと思うが、その数字が真実と乖離しているとは言えないだろう。