十和田・奥入瀬の源泉かけ流し温泉民宿「南部屋(なんぶや)」。この民宿の看板犬、リュックくんとクララちゃんのお客さんを見送る後ろ姿が、「哀愁がある」「会いに行きたい!」と多くの人を虜にしています。
南部屋の公式Twitterに12月14日、「また……、大好きなお客さん帰っちゃった……」と2匹の気持ちを代弁するように写真が投稿されました。そこには民宿の玄関で寂しそうに外をジーっと見つめているリュックくん(右)とクララちゃん(左)の姿が写っていました。見ているだけでも涙が出そうになります。こんなお見送りをされたら、またすぐに来たくなる……。
元々2匹は保護犬。リュックくんは九州の保健所から殺処分前日に保護団体を介して南部屋を運営する田村さんが引き取りました。クララちゃんは八甲田山中の国道沿いに餓死寸前で捨てられていたところを田村さんが偶然通りかかり保護したそう。「どちらも死の半歩手前までいった苦労犬」と語ります。
そのような過去を持つ2匹は人間が大好き。甘えん坊でかまってちゃんというリュックくんはお客さんに対しても積極的で、いつも「撫でて~」とすり寄っていくのだとか。一方クララちゃんは人見知りするタイプ。最初の数分は少しよそよそしいものの、すぐに慣れてお客さんと遊んでいるそうです。
リュックくんとクララちゃんがお客さんと遊ぶようになったのは、ここ2~3年。民宿を始めたのは2016年ですが、その頃は営業スペースに2匹を入れることはなく、お客さんとの交流も無かったそう。
その後、徐々に宿泊客や日帰り入浴客など常連の人が増え、少しずつ2匹の存在も認知。玄関で交流を深めるようになったのだとか。現在、客室と食堂は2匹とも立ち入り禁止となっており、リュックくんやクララちゃんと遊ぶことができるのはロビー周辺となっています。
2匹とも穏やかな性格のため、よほどのことがない限りお客さんをかんだりすることはありません。しかし、万が一のことを考えて、お客さんがリュックくんやクララちゃんと遊ぶ時は必ず田村さんが立ち会うようにしているといいます。
そのため、「宿主が不在の時や調理中で立ち合えない時など、2匹と遊んでいただけない場合がありますので、予めご理解下さい」とのこと。ちなみに南部屋はペット可の宿ではないので、ペットと一緒に宿泊することはできません。
「最初はお帰りになるお客さんと一緒に外に出たがって仕方なかった」と田村さん。しかし、お座りをしながら一緒に見送っていくうちに、何も言わなくても自然とお座りをして見送るようになったそうです。
リュックくんとクララちゃんのお客さんを見送る後ろ姿について、田村さんは「ただただ微笑ましい限り」と語ります。時々、お客さんが好きすぎて「一緒に帰ろうとする時もありますが」と笑っていました。
最後に田村さんは、民宿が十和田湖や八甲田山に程近い場所にあり、築約百年の古民家で設備も簡素になっているため、「ご利用に当たっては様々なご不便や制約をお願いせざるを得ませんので、万人の方にお気に入りいただける宿ではありません」と、利用を検討している方に向けてのお願いを語っています。利用する際は必ずホームページやTwitterに目を通すようにしてください。
<記事化協力>
温泉民宿 南部屋公式Twitter(@nanbuya_towada)
(佐藤圭亮)
提供元・おたくま経済新聞
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