読者諸賢も一度は耳にした事があるだろう「バミューダ・トライアングル」とは、北米フロリダ沖の大西洋上に浮かぶバミューダ諸島、プエルトリコおよびフロリダ州マイアミをつないだ海域と空域のこと。
このエリアを通過したいくつもの船舶や航空機が、謎の失踪を遂げる事件が相次いでおり、その原因について数々の仮説が登場したものの、納得できる説明もなければ、失踪した船舶や航空機の全てを探し出す事もできていない。「海底からのメタンハイドレート噴出と引火説」、「ハリケーンによるレーダーの使用不可説」、「UFOによるアブダクション説」から「アトランティス文明の海底遺物が誤作動したことによる時空歪み説」、「時空トンネル説」、「神隠し説」、「テレポーテーション説」、「自然発火説」、「海域に住むおばけクジラ説」、「1943年のフィラデルフィア実験の影響説」、「欧州原子核研究機構(CERN)の実験が過去や未来に影響している説」に至るまで、仮説は枚挙に暇がないが、この“魔の海域“ではパイロットや航海士がいずれも「見た事がない物」「信じられない物」を目撃した直後に失踪しているという。
しかも、人間だけが失踪して船舶だけが残されていたケースもいくつか報告されているが、同様の事例はバミューダトライアングルに留まらず、全世界で発生しているのだ。
■人間だけが消えた世界各地の船舶失踪事件
1872年のメアリー・セレスト号事件は特に有名だろう。船内のテーブルにコーヒー、パン、ベーコン、ゆで卵がまるで食事の最中であるかのように盛り付けられたまま、すべての乗組員が姿を消していた事件のことだ。
1881年、イギリスのスクーナー船エレン・オースティン号が航行中に遺棄された船を発見したが、乗り込んでみると船員が完全に姿を消していた。エレン・オースティン号の船長は、一部の乗組員に遺棄された船へと乗り移るよう指示。共に目的地へと向かうことにしたが嵐で離れ離れになり、再度発見した船を確認すると、いるはずの乗組員らが姿を消していた。そこでもう一度、他の乗組員に乗り移るように指示して曳航するも、またしても嵐に遭遇し、今度はその船ごと完全に行方不明となってしまった。
近年の事例としては、2007年4月19日にオーストラリア北部で漂流する双胴ヨット「KAZ II」が発見されるも、乗組員3人(56歳、63歳、69歳の兄弟)の姿がなかった。警察当局は「犯罪に巻き込まれた可能性は低い」とする見解を示しているが、乗組員の捜索は今も続いている。ナビゲーションシステムの履歴を見ると、4月15日までは予定通りの方向に進んでいたが、その後、スコールが発生し、海が荒れ始めたようだ。船の内部では、準備された食事もそのまま放置されてされており、豪州のメディアではこの事故を先述のメアリー・セレスト号のようだと報じている。