具体的には、透明なフィルム製の容器を7度に傾けた状態で天板が回転する装置を開発し、容器内の湿度環境を適度に保ちながら、受精卵を定期的にやさしく振り動かしました。

こちらがその装置です。

その結果、見事に胚盤葉を覆う膜の乾燥が防がれ、3日胚の生存率が従来の4倍以上に向上し、0日胚から21日目までを完全に可視化することに成功したのです。

これまでブラックボックスとなっていた産卵直後の3日間の発生プロセスも解明され、黄身からヒヨコに変身するまでの全貌を丸裸にすることができました。

そのプロセスをまとめた写真がこちらです。

ちなみに右下のニワトリは、この方法で生まれたヒヨコが大人になった個体となります。

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0日胚〜21日目に孵化したヒヨコの写真 / Credit: Katsuya Obara et al., Scientific Reports(2024)

今回の成果により、古代ギリシャの時代から長く続く謎を完全解明することに成功しました。

まだこの方法で100%の孵化率を達成しているわけではありませんが、改良を進めることで、ヒヨコの発生プロセスの全貌を百発百中で可視化できるようになるでしょう。

この知見はニワトリ胚の発生プロセスの理解といった基礎研究だけでなく、遺伝子改変を加えたときの発生の仕方の変化や、奇形(形態異常)を引き起こす化学物質を与えたときの毒性試験など、幅広い応用が期待されています。

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参考文献

卵からヒヨコまでのニワトリ胚発生をリアルタイムで可視化することに成功
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20241003180000.html