(※ 孵卵器:産卵直後の卵を適切な温度と湿度のもとで保ち、一定間隔をおいて転卵することを「孵卵」といい、この一連のプロセスを自動で行う装置を孵卵器という)

この方法は「無卵殻培養法」と呼ばれています。

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産卵3日後からの発生は可視化に成功しているが / Credit: canva

ところが、この「3日間」というのが大きな壁でした。

従来の無卵殻培養法では、産卵直後のニワトリの受精卵(0日胚)を人工培養しても、胚が正常に発生しなかったのです。

つまり今までのところ、産み落とされてから最初の3日間はブラックボックスとなっており、受精卵がどのように発生するかがわかっていませんでした。

そこで研究チームは今回、産卵直後の0日目〜21日目までの胚の発生プロセスを完全に可視化する方法の開発を試みました。

「黄身」が「ヒヨコ」になるプロセスを完全解明!

チームはまず、従来の無卵殻培養法で0日胚を培養すると、胚が正常に発生しなくなる原因を突き止めることに。

発生の停止した胚をよく観察したところ、3日目の時点で「胚盤葉(はいばんよう)」の表面を覆う膜が乾燥してしまっていることに気づきました。

胚盤葉とは黄身の中央にある白っぽい円形部で、直径はだいたい6〜13ミリあります(下図を参照)。

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Credit: Katsuya Obara et al., Scientific Reports(2024)

ニワトリの受精卵は、母親の体内でまだ卵の殻に包まれていない段階で、部分的な卵割(受精卵が細胞分裂して細胞の数を増やすこと)を始めます。

そうして約5万5000個の細胞の塊となったのが胚盤葉です。

この胚盤葉ができた後に卵の殻が作られて、体外へと産み落とされます。

チームの観察によると、卵の殻の外では、胚盤葉の表面を覆う膜が乾燥してしまうことで胚の正常な発生を妨げられていると考えられました。

そこでチームは、胚盤葉を覆う膜が乾燥しないように設計した人工培養の装置を開発。