ところで、北の加盟後7年目の成果について、国連薬物犯罪事務所(UNODC)の専門家に質問したことがある。同専門家は、「残念ながら北側から年次麻薬報告書が提出されたことがない。質問事項を送付したが、何の返答も記述されずに戻ってきた」という。
UNODC加盟国は毎年、自国の麻薬状況、統計などを報告する義務を負っている。にもかかわらず、北側は加盟後、一度も自国の麻薬関連報告をウィーンに送ってきていないという。
APGのオブザーバーとなったが、その義務を果たさなかった理由で資格剥奪されたニュースを聞いた時、当方は直ぐに上記の国際麻薬条約加盟とその後の北朝鮮の義務不履行を思い出したわけだ。北朝鮮にとって国際条約とその関連規範などは自国にメリットがある限り、意味があるが、それがなくなった場合、全て無視する。北はその分野の常連だ。
問題は、APGから既に必要な情報、ノウハウを手に入れた北朝鮮のマネーロンダリングが今後、これまで以上に狡猾、洗練されたやり方で行われるだろうと予想できることだ。韓国当局は「国際機関や各国は北朝鮮の違法金融活動に対する監視を強化し、これを抑制するための共同の努力を深める必要がある」と警鐘を鳴らしている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年10月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。