ところが石破氏のしゃべり方は一言ひとことをかみしめるように述べる上に、なぜそう思うのかを論理的に表現しないこともあるので、言葉の真意が伝わりにくい気がします。これは外国人には正直、全く受けないのです。一部の外国人有識者からは既に「イシバ政権は短命だろう」と評されているのは石破氏が今やろうとしていることが我々日本人にもわかりにくいのに外国人にはさっぱりわからない、ということだと思います。

石破氏が外交をする場合必ず出てくるのがアジア版NATO構想とアメリカとの地位協定見直しの話です。実現するかどうかは別として誰もが聞いてみたいのです。なぜそう思うのか、どうやったら実現できると思うのか、と。

欧州のNATOはソ連/ロシアを敵国とみなした前提です。アジア版ということは中国を念頭に置くのでしょうけれど東南アジア諸国で露骨に中国を敵に回すという大それた発想ができる国はいくつあるでしょうか?もちろん、中国のふるまいに頭を抱えているアジア諸国はあります。しかし全面敵対の姿勢を持っているかといえば台湾ですらないと思います。石破氏の感覚がずれていると思わざるを得ないのです。

アメリカとの地位協定見直しについては正しい主張だと思います。日本は主権国家なのにいつまでも不平等な関係ではよくない、というボイスは伝えるべきでしょう。ただし、いつ、どうやってその話を切り出すかですが、私ならアメリカの大統領が決まって蜜月の関係を築き上げた上でより非公式な形から切り出すのがベターかと思います。

そもそも歴史を知る人がほとんどいなくなる中で長い対話(ダイアログ)を重ねて展開する話です。仮に実務ベースに乗っても4-5年はゆうにかかる話しです。石破氏がきっかけを作り両国が研究に踏み切ればそれは成果でしょう。

私が外交として懸念しているのはG7であります。G7の組成国はなぜ不変なのか、なぜ入れ替えなどがないのか、なぜ日本が唯一のアジアからの国なのか、という素朴な疑問です。当たり前すぎて誰も疑問に思っていないと思います。