パレスチナ自治区ガザを実質支配しているイスラム過激派テロ組織「ハマス」がイスラエル領に武装侵入し約1200人のユダヤ人を殺害し、250人以上を拉致した奇襲テロ事件が起きて7日で1年目を迎え、欧州で各地でも親イスラエルと親パレスチナの様々なイベントやデモが行われている。

破壊されたガザの学校で座る少年=2024年9月25日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)公式サイトから

ドイツ公共放送のニュース専門局は前日(6日)、ハマスの奇襲テロ1年目をテーマに討論会を放映していた。参加者のゲストの一人が「ガザを訪問し、パレスチナ自治区の一人の若い青年と話し合った時、『われわれはピース(平和)より正義(ジャスティス)を求める』と叫んだのに少々驚かされた」という証をしていた。世界最大の収容所と呼ばれているガザにパレスチナ人を閉じこめ、外部世界との自由な交流を拒んできたイスラエルへの怒りの声だ。パレスチナ人は「我々はイスラエルが建国されて以来、民族としての自治権を奪われてきた」と説明する。

一方、イスラエル側は「ハマスの奇襲テロがなければガザ戦争はなく、パレスチナ人もわれわれも平和に過ごしてきた」と説明、ガザ紛争の責任はハマスにあると強調する。

多くのパレスチナ人にとって先の青年の主張は正しいだろう。多くのイスラエル人はイスラエル側の見解に同意するだろう。すなわち、双方にそれなりのジャスティス(正義)があるわけだ。一方が100%正しく、他は間違っている、ということはないはずだ。

オーストリア国営放送は6日、同じように特集番組を放映していた。ハマスの奇襲テロで拉致された息子を持つ母親は返ってこない息子のために毎日涙を流し、息子が戻るまで人質釈放の抗議集会に息子の写真を張ったプラカードをもってネタニヤ政府とハマスに向かって人質釈放を訴えている。ハマスは当初251人を拉致し、昨年11月117人がパレスチナの囚人と交換で釈放された。現在も100人余りの人質がいるが、多くは既に亡くなっていると見られている。