外から見る景色としては平成時代に大きく業績を伸ばした企業のリーダー達が今、どんどん退出しているタイミングになっているのです。

ではこの次のリーダーは誰なのだろう、と考えると浮かばないのです。もちろん私が知らないか、気がついていないだけかもしれもせん。ただ、日経ビジネスを毎週欠かさず25年以上読み続けていると次世代リーダーが何らかの形でインプットされるものなのですが、最近、その手の記事が少ないのです。どちらかというと敗軍の将の記事の方が目立ってしまっています。

若くしてIPOをするアントレプレナーが多いのは知っています。が、その次が出ない、つまりシリアル アントレプレナー(連続起業家)が育っていないのです。なぜだろう、と考えるとIPOでひと稼ぎして落ち着いてしまうのだろうという気がするのです。「YouはなぜIPOをしたのか」と聞けば表向きはいろいろ言うけれど、本音は大金持ちになりたかった、ではないかと思います。

もちろん事業を大きくしていく、そして次々と新しいことにチャレンジしていこうという野心は当初はあったはずです。ですが、IPOをすると突然に外野がうるさくなるのです。株主とか、銀行が決算の数字に対してあれこれ口を出してきます。株式掲示板あたりにカキコするぐらいならかわいいものですが、会社に「突撃隊」して文句を言う人も当然出てくるのです。

楽天が携帯事業の赤字脱却がなかなか進まず株価が500円を切ったころ、三木谷浩史氏が何かのインタビューの際、「僕は外野の声は聞かない」と述べていました。我が道を爆走する、それだけの太い魂と信念があればよいのですが、なかなかそれだけの玉はいないでしょう。特に50代以下の方々はSNS世代で否が応でも外からの声が聞こえてきてしまうのです。これが萎えさせるのです。

私がまだ雇われ社長だった頃、マリーナの開発で約2億円ほど投資することになりました。現地の資金調達で、東京の親会社の保証などは一切ありません。ところが親会社のメインバンクの本店法人営業部から私に国際電話があり「そんな金にならないビジネスに投資をするのは認めない」というわけです。曰く「マリーナのビジネスなど誰もやったことがないし日本にもほとんどそのようなビジネスモデルがないからお前の投資が花咲く保証など何もない」というわけです。1時間も電話で大げんかし、最終的に「私が全責任をとり失敗したら銀行様の言うとおりにする」という言質と引き換えに渋々承諾を得ました。私は絶対の自信があったので命を懸けてでもやりたかったのです。事実、その開発は完成後、半年で満杯になり、「お宝」になりましたが、ビジネスなんてそれぐらいの迫力でやらなくては勝てないのです。