従来のセメント系の建材は、小さな材料がぎっしりと詰まっている分、エネルギー吸収能力が限られており、破壊靭性(亀裂に対する抵抗力)が弱いという欠点がありました。
しかし、「人間の骨を模倣した建材」は、この弱点を構造によって補うことができています。
実際、破壊靭性を評価する試験では、従来のセメント系の建材と比べて、5.6倍も高い破壊靭性を示しました。
しかも、この新しい構造なら、建材を作るために必要なセメントの量を減らすこともできます。
現在、コンクリートに使用されるセメントは、その作成時に世界中の温室効果ガス排出量の3%を排出しているため、この新しい建材を用いることは環境にいくらか配慮することにも繋がります。
そして研究チームは、この人間の骨を模倣した構造を他の材料にも適用できると考えており、今後は、その可能性を探っていく予定です。
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参考文献
Hollow concrete mimics human bones for 5x better toughness
https://newatlas.com/materials/concrete-hollow-tubes-bones-5x-tougher/
Tougher concrete, inspired by bone
https://engineering.princeton.edu/news/2024/09/16/toughen-cement-fill-it-full-holes
元論文
Tough Cortical Bone-Inspired Tubular Architected Cement-Based Material with Disorder
https://doi.org/10.1002/adma.202313904