人間の骨は軽いだけでなく、様々な衝撃から私たちを守ってくれます。
この骨の強度の高さの秘密は、「亀裂を逸らして、一瞬で崩壊することを防ぐ構造」にあります。
最近、アメリカのプリンストン大学(Princeton University)に所属するレザ・モイニ氏ら研究チームは、人間の骨の構造を模倣したコンクリートブロックを開発しました。
内部に空洞が作られた特殊な構造により、亀裂の進展が抑えられ、従来のコンクリートブロックよりも5.6倍も高い破壊靭性(亀裂の進展や破壊に対する抵抗力)を示しました。
研究の詳細は、2024年9月10日付の学術誌『Advanced Materials』に掲載されています。
目次
- 「人間の骨」の強さの秘密
- 人間の骨を模倣したコンクリートブロックは強度が5.6倍
「人間の骨」の強さの秘密
人間の骨は、主に「皮質骨」と「海綿骨」の2層で構成されています。
皮質骨は表面の硬い部分であり、骨の強度を保つ役割を担っています。
一方、海綿骨は皮質骨の内側にあるスポンジのような網目構造になっており、その隙間には骨髄が詰まっています。
この海綿骨のスポンジ構造のおかげで、骨は軽量化されており、「軽くて丈夫な骨」を実現するのに役立っています。
今回、モイニ氏ら研究チームが着目したのは、表面の硬い部分である「皮質骨」の構造です。
海綿骨と比べると密度が高い皮質骨も、実はその内部に複雑な構造と空洞が含まれています。
図が示すように、皮質骨は、まるでバームクーヘンのような楕円形の管で構成されています。